昔々、そう遠くはない昔。
町に小さな仕立て屋がオープンしました。
その素晴らしい技術と仕上がりの良さが評判を呼び、かっこいいスーツが作れると町中のうわさになって行きます。
時がたつにつれ、何もかもが当時では考えもつかない障壁が立ちはだかります。登りは落とされ、落とされては登る。でも、決してあきらめることはしません。
よっこらしょ。よっこらしょ。
急ぐでもなく、まわりに惑わされることなく自分のペースで一歩一歩と前へと歩み続けます。
その後も、丁寧な仕事を続け札幌のほか道内各地からも注文の声がかかるようになり、自身もますます腕を磨き、謙虚な心を持ちながらも確固たる自信をもって仕事に取り組んだ結果、その努力と情熱が報われ名実ともに「北海道を代表するテーラー」となっていったそうな。
しかし、また困難がやってきました。
時流には逆らえず「買いやすい価格」での提供が困難になってきたのです。コストを抑えれば抑えるほど、生地や工賃、燃料代や送料、値上がる一方です。
このまま続でけていくことは難しいと空を眺め考えている矢先、遠くの方から聞こえてくるではありませんか。
「原点に返りなさい」と。
「高みを目指し、技術を磨き、まわりに目もくれす突進してばかりではダメだ。もっと全体を見通さなければ。」
それからというもの、物語は新たな章へと向け動き始めるのです。
原点に返る「買いやすい」を実現した ”Piccolo di Biancco su misura”(若き日のビアンコ、ミニビアンコ)という意味の新たなレーベル。
装いも新たに開店します。